新年あけましておめでとうございます。年頭に当たりご挨拶申し上げます。
2020年5月に理事長に就任してから4回目の新年を迎えました。
この間、「新型コロナウイルス」によるパンデミックに振り回されましたが、どうにか人流も回復し、百貨店需要や土産物需要、流通菓子全般がコロナ前に戻りつつあると実感しています。
いずれにせよ、「コロナ」が完全に収束したわけではありませんので、経済活動・社会生活はコロナと共生していきながらの毎日を過ごさざるを得ません。
経済活動でみれば、一昨年のロシアによるウクライナへの軍事進攻が、世界のエネルギー資源や穀物価格の高騰など世界規模の経済リスクとなり、とりわけ原材料の多くを輸入に頼っている我が国では急激な円安が続き、国内製造・加工メーカは一様に大変厳しい環境に至っております。
流通関係の課題では、物流・運送業界の「2024年問題」としてドライバーの労働時間規制が本年4月から本格実施されます。これに伴い、当業界でもより一層物流の効率化・合理化や必要に応じて施設や資器材の改善、共同配送の推進なども行っていく必要があると考えています。
また、労働力不足も大きな課題となっています。外国人技能実習制度、特定技能制度の在り方に関する検討も行われているようですが、種々の要件緩和など人材確保し易い制度にしていただければと思っています。
米菓についても、原材料やエネルギーコストの高騰による収益悪化が経営に大きな影響を及ぼすため、数次に亘る商品値上げや規格変更を行いながら、業績確保に取り組んでいるところです。
米菓の原材料で一番重要な原料米について言えば、令和5年産米が高温障害による品質劣化と特定米穀発生量の減少に伴う国産米原料の確保が喫緊の課題となっています。この国産米の供給不安に加え、MA米も高騰し業界を直撃しています。
やはり農産物の豊凶に影響を受けることのない安定した原料仕入れの重要性を改めて認識する次第です。
さて、全国米菓工業組合は、昭和37年5月に創設され、組合創設以来62年目を迎えました。
昭和37年の設立時に2,000社を超えた組合員も現在290社まで減少しましたが、これまでの米菓特有の地域性の高い家内工業的なプライベートブランドから脱し、機械化や流通革命によるナショナルブランドに発展させ、米菓の生産額では 2,800億円を超え、菓子全体の生産額の1割強を占める産業に成長して参りました。
この間、凶作に伴う原料米不足、資材価格の高騰問題等幾多の困難な局面もありましたが、主務官庁のご指導・ご高配と、先人・先輩達の業界発展への尽力、また、関係の皆々様の温かいご支援により、組合運営を続けてくることができました。関係各位に紙面をお借りし厚く御礼申し上げます。
ご承知のとおり、米菓(あられ・おせんべい)は、日本で生まれ稲作文化とともに発展してきた我が国固有のお菓子です。米を主食とする日本人にとって、米の加工食品である米菓特有の風味は、時代が変わろうとも日本人の嗜好にあったお菓子と考えています。
今や少子高齢化の時代を迎え市場は益々狭まってきていますが、グルテンフリーやアレルギーフリー、若年層への商品開発など、切り口によって米菓はまだまだ伸びる素地はあります。
また、海外市場に目を向けて輸出に取り組むことも必要ですし、インバウンド需要への対応等組合員各位が時代の変化に沿って、創意工夫・切磋琢磨をしながら市場を切り開き、伝統的食文化である「米菓」を未来に伝承していかなければなりません。勿論、「安全・安心の取組」も手を抜くことはできません。
私が理事長に就任してまず初めに手掛けた組合ホームページのリニューアルですが、思いのほか評判が良く、「あられ・おせんべいの魅力」、「米菓ができるまで」の動画や絵コンテ、会員企業紹介などを通じての問い合わせもあると聞いています。ご覧になっていない方は、是非アクセスしてみていただけたらと思います。
最後になりますが、本年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう祈念し、年頭のご挨拶といたします。